悪意の目覚め

娘ちゃんが今朝保育園に行くとき、「こんな可愛くない服はイヤだ」と言い出した。

何を着ても可愛い娘ちゃんが今日は灰色の上着と黒いズボンというシックな出で立ちで、これはこれで派手な服もいいけど可愛くてたまらんなと思っていたのに、なんでそんなことを言うのかと聞いてみた。

すると、保育園のお友達の「Xちゃん」から昨日、着ている服について「娘ちゃんの服はピンクじゃないしハートもついていないから可愛くない」と言われたとのこと。

それが気になってしまったようだった。

あぁ、なんて可哀想なことなんだろう。

我が家は夫婦同士で喧嘩することも全くないし、意地悪なことを言う人間が誰もいないので、娘ちゃんは悪意に耐性がない。

だからショックを受けてしまったのだった。

あぁ、もう、人間って本当にイヤね。

死に損ないのババアでも悪意に満ちた邪悪な人なんか多いもんでさっさと地獄に行けよと思うけど、まさか四歳児でもそうなのかと。

本当、なんで他人を傷付けたりする必要があるんだろうかと思う。

そんなことで楽しもうとする品性の汚らしさよ。

とか言いつつ、自分も昔やってたけどね。

今の自分は他人を傷付けようなんて思わない。

それは巡り巡って自分に損をもたらすことになるし、そもそも毎日が忙しすぎて他人と意味のない絡みをする時間なんて一切ないから。

でも、子供の頃の自分は他人を傷付けることを沢山したなと思う。

悪意もない無邪気な子供の頃の話――ではなくて、子供の頃でもハッキリと悪意を持って意地悪なことをしたことも沢山ある。

でも、自分のはとてもカラッとした、悪意もそんなにドロドロとしたものじゃなくて……なんて思いたいけど、きっとそんなことはない。

――人間っていうのは自分を悪く思いたくないもんだなってすごく思うよ。

書いてて、すごく自分に都合がいい解釈をしようとしている自分を感じる。

環境のせいにしたり、誰かのせいにしたり、なんか言い訳を付けて自分にいいように書こうとしている自分をすごく感じるけど、残念ながら僕はそんなに綺麗な人間ではない。

ちゃんと悪意も敵意も持って他人を傷付けたことがあった。

自分がされたことを痛烈に覚えているように、自分の記憶のないところで他人にトラウマを与えていることも沢山あったことだと思う。

だから娘ちゃんに舐めた口を叩いたXちゃんのことはムカつくけど、自分もそんなことを沢山してきたと思うと憎しみは湧いてこない。

まぁ、Xちゃん自身もつらいと思うんだよね。

「Xちゃんちは凄く沢山のオモチャを持ってるんだって」
「Xちゃんちは凄く広いおうちに住んでるんだって」
「Xちゃんちは凄くカッコいい車に乗ってるんだって」

等々、娘ちゃんはXちゃんからくだらないマウンティングをよく受けて、その度に心揺れ動かされ僕に愚痴ってくる。

Xちゃん大丈夫か? 4歳にしてすでに自分の中には誇るものが何もない、空っぽの女みたいになってんじゃん。

まぁ娘ちゃんも自己申告してないだけで保育園で誰かにマウンティングしてるかもしれないけどね。

「うちのパパが持ってるエロ動画の性癖は尋常じゃないよ」とかね。

誇らしいことだと思うよ。

っていうかそんなこと娘ちゃんに知られていたら私は死ななくてはなりません。

っていうかXちゃんの家って歳の近いわんぱくなお兄ちゃんがいるんだよね。

だからXちゃん自身も自分を大きく見せなきゃやってられないんだろうなと思う。

なんにせよそういった悪意に対する耐性を付けさせてもらっているのだとXちゃんには感謝している。

こういうの知らずに小学校とか上がったら本当に辛いだろうからね。

とりあえず娘ちゃんが気持ち良く保育園行けるように明日はカミさんがピンクのハートの服を用意してやるそうだ。

優しいなと思った。

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