応募者に舐めた態度を取る面接官に天誅を下す――面接官の育成、指導を行うコンサルティング会社「インタビュアー・コレクション」

高杉 聡(たかすぎ さとる)氏

―はじめに、自己紹介をお願いします。

高杉:はい、高杉と申します。私は企業の採用担当者――特に面接官の育成や指導を行うコンサルティング会社「インタビュアー・コレクション」の広報を担当しております。

―具体的に貴社はどのようなサービスを行っているのでしょうか?

高杉:主に「自社の採用担当者がどのような面接を行っているのか評価したい」と考えている企業の役員からオファーを受け、弊社のコンサルタントをその企業の求人に応募させます。そして実際に面接を受け、面接官の質疑の内容や態度、マナーを評価し依頼元の役員に報告を行います。架空の略歴を作成して応募しますので、採用担当者にとっては避けようのない抜き打ち検査となります。

―実際に面接を受けて、どのような印象を受けることが多いでしょうか?

高杉:そもそも弊社にお声掛けしてくださる企業の役員の方々はSNSや転職支援サイトなどに自社の面接官の悪い評価が書き込まれていることを懸念されている方が多いので……まぁ、酷い面接官ばかりですよね(笑)応募者は遠路はるばる交通費も労力も時間も掛けて「御社の仲間に入れてください」と言ってきてくださっているのに、それだけでも敬意を払わなくてはいけない相手であるはずなのに、平気で無礼な態度を取ってきます。顔を合わせるなり「このあと会議が入っちゃったから十分で終わらせていい?」と言ってくる男性や「じゃあ適当に喋ってください」とか言ってずっとスマホを見ている女性など、会社の看板を背負った立場でなぜそのような態度が取れるのかと理解に苦しむような人物ばかりです。

―なぜそのような面接官が出てきてしまうのでしょうか?

高杉:やはり面接の場となると応募者は面接官に好印象を与えるために丁寧な言葉遣いや礼節のある態度を心掛けて敬ってくれるものですから、そのような態度で扱われているうちに自らが偉くなったような気になってしまうのでしょうね。応募者は会社の採用条件に向けて頭を下げているのに、自分が頭を下げられていると勘違いしてしまうのだと思います。応募者がなぜそのような態度で接してくれているのか、そして企業の代表としての自分がどのような態度を取るべきなのか――少し考えてみればわかることもわからないのですから、「頭が悪い」というのが根本的な問題だと思いますね。

―頭が悪い人物に評価されるなんて、応募者としては勘弁してほしいものですね。

高杉:まったくですね。営業や総務など組織の中の一つの役割に過ぎないというのに、自らが応募者の命運を握る神になったとでも思い込んでいるようで、その自惚れ方には目も当てられません。

―でも、中にはしっかりとした面接官もいるのではないでしょうか?

高杉:いますが、本当にごく僅かですよね。大抵の面接官が人間として歪んでいます。やはり営業でも技術でも事務でも役に立たない人間が権限だけを与えられたらそのコンプレックスを隠すためにも自分は立派な人間だと過信するほかないんでしょうね。ですから弊社ではオファーのあった企業様には面接官を一年周期で交代させるように提案しています。長くその場にいるとただの馬鹿も取り返しがつかないほどに驕り高ぶったとんでもない馬鹿に増長していきますからね。

―なるほど、増長を食い止めるご提案もされているのですね。また、アフターサービスも充実しているとうかがいました。

高杉:はい、役員への報告を終えたあと、直接その面接官への指導を行ってほしいとご依頼いただく場合があります。その場合、コンサルタントは身分を明かした上で再び面接官と向き合い、直接指導を行います。

―無礼な態度をしていた相手にダメ出しをされるのは、その面接官にとってダメージが大きいのではないでしょうか?

高杉:寧ろ大きなダメージを受けてもらわなきゃいけませんからね。その天狗になっていた鼻っ柱をへし折って差し上げるように徹底的に詰めます。自身が面接の場に来てこのような態度を取られたらどのような気持ちになるのかをこと細かに説明し、面接を行う上でのマナーやコミュニケーションの重要性について指摘し、改善点を具体的に提案します。私が現場でコンサルタントをやっていたときにはムカついた面接官を全員土下座させて泣くまで説教していましたよ(笑)

―それはすごいですね(笑)反発を受けたりすることはなかったのでしょうか?

高杉:馬鹿のくせに生意気に歯向かってくるようでしたら問答無用で殴ってましたね。「オマエに無礼な態度を取られて泣いて帰った応募者の気持ちがわかるか!?」とかいって他人のせいにして(笑)昔キックボクシングをやってたんで殴り合いで負けることはなかったですね。偉そうなジジイも膝入れて鼻を潰してやったら泣いて謝るし、生意気な女も髪を掴んで10回ぐらいジャイアントスイングしてやれば素直になります。結局、あの手の奴らって痛い目を見たことがないんですよね。だから面倒くさいけど拳で教えてやるのも優しさかなって思っていました。まぁ、勿論ここはオフレコで(笑)

―そのようなアクションで面接官の態度が改善されることはあるのでしょうか?

高杉:はい、オファーをくださった企業の役員の方々からはとても高い評価をいただいています。弊社コンサルタントの評価や指導内容は勿論のこと、それ以前に会社の中に「面接官も抜き打ちテストをされることがある」という実績を作ることが一番良い影響を与えるみたいですね。いつテストされるかわからないという緊張感が、愚かな面接官の増長を抑止するようです。

―最後に、貴社の今後の目標について教えてください。

高杉:弊社のミッションは優秀な人材を取り逃すことなく採用できる面接官のプロフェッショナルを育成することで、企業の発展に貢献することです。どんなに優秀な人材であってもダメな面接官に会ってしまえばその企業に入ることはありません。今後も様々な指導を通じて面接官の資質向上に取り組んでいきたいと思います。

―ちなみに、私も高杉さんの受け答えが広報として相応しいものであるか貴社の役員の方から調査するよう依頼を受けてきたんですよ。

高杉:え……。

※このインタビューはフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

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