坂井 薫(さかい かおる)氏
―今日はすごくイキっていると噂の中学生、坂井さんにお話をうかがいにきました(笑)坂井さんよろしくお願いします!
坂井:挨拶とかいいからさっさとしろよ。こっちは忙しいんだからよ。
―お、早速イキってますね(笑)
坂井:うるせーな、何ヘラヘラ笑ってんだよ。あと、「坂井さん」とかいう言い方もやめろよ。俺には別の名前があるんだよ。
―あ、SNS等で利用されているハンドルネーム「✝迦楼羅✝(かるら)」のことでしょうか(笑)?
坂井:あぁ、そうだよ。そっちで呼べよ。
―いいんですか、ありがとうございます(笑)それでは✝迦楼羅✝さん――。
坂井:「さん」はいらねーよ!
―ありがとうございます(笑)じゃあ、✝迦楼羅✝で(笑)ぷぷっ……✝迦楼羅✝はなんでこんな名前を名乗っているんですか(笑)?
坂井:「迦楼羅」っつーのは鳥の頭をした神の名前なんだよ。俺がその名前を名乗ることで鳥のように自由の大切さを伝えていきたいと思ってんだよ。
―鳥のように自由の大切さですか(笑)具体的にはどのようなことを伝えようと思っているんですか(笑)?
坂井:いろいろ考えてるんだけど、例えば自己表現の場を作ることとか社会的弱者の支援とかだな。
―え(笑)? それのどこが自由の大切さを伝えることになるのでしょうか(笑)?
坂井:俺が言っている自由っていうのはただルールを破って好き勝手やるとかそんな幼稚なことじゃねーんだ。誰もが皆、本来の自分自身を表現しながら自分の力で自在に生きていけること――それこそが自由だと思っているから、俺は馬鹿にされてもいいから「✝迦楼羅✝」と名乗り活動していくことで、俺を見た人々に自分で考えて行動していくその自由の大切さを感じて欲しいと思っているんだ。
―なんか立派なことを言っていますね(笑)ちょっと意外です(笑)
坂井:それに「迦楼羅」はインド神話に出てくる聖鳥ガルーダが仏教に取り込まれた名前で、ヴィシュヌ神の乗り物であると同時に敵対する悪の化身である毒蛇を食べることで人々を邪悪な力から守る存在としても知られている。俺も同じように邪悪な敵から沢山の人々を守りたい、その象徴であるように活動していきたいと思って「✝迦楼羅✝」を名乗ってんだ。半端な気持ちじゃねーんだよ。
―邪悪な敵? それってなんですか(笑)?
坂井:聞くまでもねーだろ? 俺たちみたいなガキを喰いもんにしようとしている邪悪な敵が、残酷な大人たちがこの世の中には沢山いるじゃねーか。お前だってそうだろ? 楽しげに取材を持ちかけておいてどうせネットで記事にするときには「イキってるイタい中学生を見つけた! こいつをみんなで叩いて遊ぼう!」みたいな感じに持っていくつもりなんだろ? ガキの幼さや真っ直ぐさみたいなものを小馬鹿にして小銭稼ぎをしてよ。具体例を挙げればキリがないけど、俺が敵だと思っているのはそんなお前たちみたいな人の心を失った、薄汚い邪悪に染まっちまった哀れな人間たちのことだよ。
―……。
坂井:何黙ってんだよ、都合が悪くなるとだんまりか?
―いえ、べつに……。あ、えーと、そうだ! 2023年の前半は若者がSNS上に投稿する迷惑動画が連日のように報道されていましたが、あれを見ていてどのように思いましたか? 同世代ですよね? 同じことをやってみたいとか、大人は過剰反応しすぎだとか、何か共感するところがあるんじゃないですか?
坂井:逆に聞きたいんだけど、ここまでの俺の話を聞いてきて、俺が共感すると思うわけ?
―いえ、それは……。
坂井:他人のことをバカにしているからそんなくだらない質問しかできねーんだよ。ちゃんと頭でものを考えてから喋れよ。
―はい、すいません……。
坂井:ちなみに、俺は✝迦楼羅✝として自分が発信するものには責任を持っているぜ。迷惑なコンテンツをあげたり、誰かを傷つけたりすることは絶対にしないし、むしろポジティブな影響を与えられるものだけを発信するように心がけている。
―ポジティブな影響を与えられるものだけとは、一体どのようなコンテンツですか?
甲:例えば地域のイベントやお祭りの告知やレポート、または環境問題や社会問題などについての情報発信など、みんなが楽しめる情報や役に立つ情報だけを厳選して発信している。
――お祭りとか(笑)
甲:は? なんだよテメー。
―いえ、それでは最後に、✝迦楼羅✝の今後の展望について教えてください。
坂井:最近は自然災害や環境問題にも取り組んでいきたいと思っている。平和そうに見える日本の中でも目に入る機会が少ないだけで自然災害や環境問題など、個人の力ではどうしようもないことに今この瞬間にも苦しめられて涙を流し続けている人たちは沢山いるんだ。それらのことについてもしっかりと勉強し、情報発信をし、人々の意識を変えていきたい、苦しんでいる人たちの手助けをしていきたいと思っている。これはボランティア活動をしているときにいつも考えることなんだけど、俺一人が足下の雑草を抜いても大した変化は見られないが、それを同時に一万人が集まってやったら一瞬にして景色が変わるだろ? 人と人とが助け合うとはそういうことで、そんな力が集まればどんな大きな困難にだって立ち向かっていけると真剣に思っているんだ。
―それは素晴らしいですね。ありがとうございました。
※このインタビューはフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。