鈴木英二(すずき えいじ)氏
―鈴木さん、こんにちは。今日は取材にお時間をいただき、ありがとうございます。
鈴木:こんにちは。どうぞよろしくお願いします。
―まず最初におうかがいしたいのが、お顔がアンパンマンに似ているということなんですが、ご自身ではどのように感じられていますか?
鈴木:正直言って本当に迷惑ですね。確かに僕の顔もパンで出来ているんですが、僕は中身がないただのパンなんですよ。あんこなんて全く入っていないのに、いつも人々から「アンパンマンだ!」と叫ばれたり、写真を撮られたりするのでかなり疲れます。
―なるほど、ただのパンマンなんですね。でも、顔が似ていることで得たメリットなどもあるのではないでしょうか?
鈴木:特にありませんね。顔が似ているということで時々立ち寄った先のパン屋とかで無料でパンをもらえたりすることがありますが、別にいらないし本当に特に何もないですね。
―ちなみに、顔の交換とかも可能なんですか?
鈴木:ああできますよ。でも、この通り身体がしっかりしていますんで首を取ってしまうとかなりグロいですよ。見ます(笑)?
―いえ、遠慮しておきます(笑)
鈴木:懸命な判断ですね(笑)
―アンパンマンではないけれど同じパンの顔を持つヒーローということで、鈴木さんの社会における役割は何だと思いますか?
鈴木:ヒーローでもないし、社会における役割なんて言われても特に何もないですね。だってアンパンマンと違って僕には宿敵がいないんですもん。倒すべき相手もいないんですからレゾンデートル(存在理由)も不確かなところがあります。
―なるほど、なんのために生まれて、何をして生きるのかという問題ですね。
鈴木:アンパンマンはばいきんまんがいるから成り立つわけです。僕にはそれがない。人間のように生殖器もないので種をのこすこともない。なんのために生きているんでしょうか。ねぇ、なんだと思いますか?
―いや、それは私が言うようなことではないと思いますが。
鈴木:失礼。分かっているんです。分かっているんですけど……ねぇ(笑)とりあえずアンパンマンの真似事じゃないですけど、誰かが困っているところを見つけたら手助けをしたり、ちょっとしたお手伝いをすることで人々の役に立ちたいとは思っていますよ。
―それは立派なことですね。街のパトロールなどもされているのですか?
鈴木:いやぁ、それも以前は頑張ってしていたんですけど、パトロールをしていると警察官に嫌がらせを受けるんですよ! 茂木ってヤツなんですけど、会う度に職質してくるんです! もう何回もしているしこの顔も覚えているくせに、ニヤニヤした顔で必ず絡んでくるんですよ! きっと警察官でもないのにパトロールしていたのが気に喰わなかったんでしょうね。だからもうバカバカしくなってやめました。正義は多いに越したことはないと思うんですけど、くだらないバカばっかりですよ!
―ではパトロール以外には何をされているんですか?
鈴木:コールセンターでアルバイトをしています。
―最後に、鈴木さんのこれからの目標や夢はありますか?
鈴木:正直言って特にありませんね。まぁ、でもこれを読んでいる人々に何かを伝えるとしたら、やっぱり「レゾンデートルを持て」ってことですかね。それがないと人生つまらないぞって。
―重い言葉ですね。本日はありがとうございました。
鈴木:ありがとうございました。
※このインタビューはフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。