5年前にも女児の体触り停職処分 教え子ら7人へのわいせつ行為などで起訴の教員 その後も訴え相次ぐ 東京新聞

 教え子への盗撮事件などで2~4月に逮捕・起訴された東京都内の小学校教員が、5年前にも別の教え子にわいせつ行為をしたとして停職処分となっていたことが、複数の関係者への取材で分かった。逮捕の約1年前には「体を触られた」とさらに別の被害申告が学校に寄せられていたが、処分されずに教壇に立ち続けていた。(山田雄之、榊原大騎)
【関連記事】教員のわいせつ行為 PTSDに苦しみ 都内の女子中学生「学校怖く、人生変えられた」

 被告は23区内の小学校に勤務していた男(46)。教え子の女児ら7人にわいせつ行為や盗撮などをしたとして、準強姦未遂罪と児童ポルノ禁止法違反罪で起訴されている。19日に東京地裁であった初公判では盗撮事件の審理があり、「間違いない」と起訴内容を認めた。
 関係者によると、わいせつ問題が初めて発覚したのは、逮捕時とは別の小学校教員だった2017年6月。教育委員会の聞き取り調査に女児の体を触ったことを認め、都教委から停職3カ月の懲戒処分を受けた。
 都教委の監督対象となり、18年に現在の小学校に異動後も都教委の職員が授業の様子を見に来るなどしていた。20年12月、この学校でも女児から「体を触られた」との訴えがあったが、被告は「身に覚えがない」と否定。都教委は処分しなかった。
 区教委幹部は「事実関係を否定されると、それ以上の調査は難しい。性暴力があったと行政が認定するハードルは高い」と話す。
 逮捕は別の女児が21年10月、「体を触られた」と学校に訴え出て、校長が警視庁に「わいせつ行為があったようだ」と相談したことがきっかけだった。警視庁は今年1月、被告の自宅を捜索。押収したスマートフォンやUSBから、着替えをする女児の動画などが見つかった。起訴内容の行為があったとされる時期は、停職前後の12~19年にわたった。

◆わいせつ教員許さぬ流れ 先月新法施行 実効性に疑問も◆
 わいせつ行為などをした教員は原則懲戒免職とする方向が強まっており、4月に施行された「わいせつ教員対策法」では、免職となった教員の免許再取得を厳しく制限。ただ法に基づく対策には限界も指摘され、実効性に疑問も出ている。
 高校2年の女子生徒(16)は約6年前、小学生時代の担任だった被告が、教室で女児を膝の上に乗せたり、後ろから抱き締めたりする姿をよく見ていた。
 「ちょっと変だな」と感じたが、学校や両親には伝えなかった。「他の先生の前ではやらないし、親からの評判も良かったので言いづらかった」と振り返る。
 わいせつ行為で停職になったことは知っていたが、教員を続けているとは思わなかったという。「被害を受けた子の傷は一生残る。あの人は悪いことをしたと思っていなかったんじゃないかな」とつぶやいた。
 わいせつ行為などで処分を受ける公立小中高教員らが年200人以上で高止まりする中、昨年5月にわいせつ教員対策法が成立。従来の教育職員免許法では、懲戒免職で免許を失っても3年たてば再取得できたが、都道府県教委の判断で拒絶できるようにした。
 加えて、これまでは処分歴を申告せず他の都道府県教委に採用される教員がいたことから、国が免許失効者のデータベースを整備することも規定。懲戒免職となった教員は復職が極めて難しくなった。
 また、これまでは学校内の問題は学校内で解決しようとする流れがあったが、子どもから相談を受けた教員らに、教育委員会や警察への通報義務を課した。
 慶応大の佐久間亜紀教授(教育論)は「子どもへの性暴力に国が厳しく臨む姿勢が明確になった。現場の教員だけでなく校長ら管理職の意識も変わるだろう」と制度を評価する。ただ、通報義務については「今の教育現場は教員が忙しすぎて、子どもがじっくり相談できる環境にない。通報した教員を守る仕組みも整備されていない」と実効性に疑問符を付けた。
 NPO法人「性犯罪加害者の処遇制度を考える会」代表理事で精神科医の福井裕輝さんは「子どもは教員の前では圧倒的な弱者。信頼する大人から受けるわいせつ行為は、一生続く精神的ショックになりかねない」と指摘。「小児性愛者が病院に行っても保険適用外で門前払いされる現状がある。『小児性愛は病気』という観点を社会全体で共有し、加害者が治療や支援を受けられる体制を整えることが重要だ」と強調した。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

画像認証です。