教員の性暴力、どう事実認定 防止法施行も課題大きく 産経WEST

教員から子供へのわいせつ行為などを「児童生徒性暴力」と位置づけた「教員による児童生徒性暴力防止法」が4月1日に施行された。懲戒処分を受けた元教員の教壇への復帰が制限されるなど、専門家も意義を認める新法だが、加害事実の認定や被害者支援の方法は各自治体の裁量に委ねられる。対応のあり方を具体的に定めた自治体は少なく、実効性を伴う被害撲滅の仕組みの構築には時間がかかりそうだ。

免許再取得にハードル
新法では、性交やわいせつ行為、性的羞恥心を害する言動などを児童生徒性暴力と定義し、児童生徒の同意の有無にかかわらずこれらの性暴力を禁止した。

また、これまではわいせつ行為などで懲戒免職となり教員免許を失効した教員でも3年後に免許を再取得できたが、新法では、各都道府県の教育委員会が専門家らで構成する「再授与審査会」の意見を聴いて判断するなど、免許の再取得へのハードルは高くなった。さらに、性暴力事案で免許を失効した教員の名前や理由を国が今後データベース化し、各教委が活用できるようになる。議員立法で昨年5月に成立し、一部の規定を除き今年4月に施行された。

ただ本当に困難なのは、加害事実を認定するまでの段階だ。

千葉大大学院の後藤弘子教授(刑事法)は新法について、性暴力と定義されて禁止されたことは意義があるとする一方で「同僚教員が加害の可能性を感じて相談しても、学校側が深刻に取り合わないこともある」と課題を指摘する。

過去に性暴力が問題化した教員の場合も、同僚間で子供に慕われる「良い先生」と評価を受けていた人が珍しくなく、仲間意識や組織の保身のために、学校側には本格的な調査をためらう心理が働いてしまう。さらに、学校はそもそも、被害者ケアなど性暴力への正しい対応方法をよく知らないという事情もある。

直ちに外部と連携
こうしたなか、学校や市教委の対応方法を全国に先駆けて整備した自治体もある。

平成30年に教員が性暴力で逮捕された千葉市では、令和2年1月から後藤氏ら有識者の検討会で議論を始め、現場の教員が加害を察知したら、直ちに市教委や外部と連携、対応できるよう、体制とマニュアルの整備に乗り出した。

養護教諭などの教員らに児童生徒の性被害に関する研修を行い、被害が分かれば「誰に何をされたか」だけを簡潔に聞き取り、市教委へ報告。その際には、校長や教頭を通じてだけでなく、教員が市教委の窓口に直接相談するルートも使う。市教委では、外部の弁護士や警察OBを含む常設チームが、加害教員の言い分も聞き取って慎重に事実関係の確認を進め、児童相談所などにも協力を求める、との内容だ。

昨年6月に検討会から提言を受けた市教委では、具体化に向けた作業を進めるが、法律の趣旨やマニュアルの必要性について、現場の教員から理解を得るのは簡単ではないという。

長年対策や支援に取り組むNPO法人「スクール・セクシュアル・ハラスメント防止全国ネットワーク」(大阪府守口市)の亀井明子代表は性暴力につながる〝芽〟はどの学校にもあると強調。新法施行も「社会が教員による性暴力の存在を認めたことには意義がある。ただ、全てはこれからだ」と話した。(西山瑞穂、地主明世)

https://www.sankei.com/article/20220503-WV3VTPQCTNJJFHV5ST7UTE7DR4/

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