いじめで高3自殺、賠償命じられても学校は謝罪せず…遺族「再発防止につながらない」 読売新聞オンライン

 生徒の自殺を巡り、裁判でいじめが原因と認定されても、学校側から納得がいく説明や謝罪を得られず、複数の遺族が「再発防止につながらない」と問題視している。専門家は「学校は遺族と向き合うことで、教訓を得られる」と指摘。遺族らは、国に仕組み作りを働きかけようと動き出した。(村上喬亮)

 「学校は司法が認めた責任を正面から受け止め、事実を伝えてほしい」。2013年に自殺した福岡県太宰府市の私立高3年山口勲大(いさむ)さん(当時18歳)の兄は訴える。

 福岡地裁は昨年1月、山口さんの自殺と同級生のいじめの因果関係を認め、適切な対応を取らなかったとして、責任を否定していた学校側に賠償を命じた。同9月に福岡高裁も約3000万円の賠償を命じ、確定。遺族によると、謝罪などを求めて学校側に話し合いを申し入れたが実現しておらず、兄は「お金が欲しくて裁判を起こしたわけではない。学校現場の改善につながらないと、弟の死が無駄になってしまう」と懸念する。

北九州市の学校は遺族の申し入れに、「2018年から見解は変わらず、説明の機会を設けることはありません」と回答した

 同校は取材に対し、「裁判手続きの中で見解は伝えた」とした。

 北九州市で17年に私立高2年の女子生徒(当時16歳)が自殺した問題では、遺族が「学校管理下の事件」として日本スポーツ振興センターに見舞金を求めた訴訟で、地裁は昨年11月、いじめが自殺の原因と認める判決を言い渡した。学校の第三者委員会や県の再調査委は、いじめを認定したが、自殺の原因とは認めていなかった。

 判決で異なる判断が示されたことを踏まえ、遺族は学校側に説明の場を求めたが、かなっていない。父親は「司法判断を受け、娘の死をどのように考えているか問いたかった。目をそらさないで」と話す。

 同校は「遺族には『裁判に関与していないので説明できない』と説明した。誠意ある対応をしている」としている。

 一連の訴訟の代理人弁護士によると、民事裁判の判決で謝罪を命じるのは通常、名誉毀損(きそん)が認められた場合に限られ、ハードルは高い。山口さんの訴訟でも、遺族は謝罪文の校内掲示を求めたが、地裁判決は「社会的名誉が毀損されたとまでは認められない」と退けた。

「全国学校事故・事件を語る会」の代表世話人の内海千春さんは「賠償はしても、謝罪しない学校は少なくない。教育は過ちを認め、やり直すこと。謝罪で遺族と同じ目線になることで、本当の再発防止につながる」と訴える。

 山口さんの遺族ら約30人は3月、福岡市で集会を開き、学校側が謝罪を表明する制度の創設を国に働きかけることを決めた。制度の必要性を訴える動画の制作・公開も計画している。

 責任を認めて謝罪し、遺族と再発防止に取り組む学校もある。

 09年8月、大分県立竹田高2年の工藤剣太さん(当時17歳)が剣道部の練習中に熱中症で亡くなった。元顧問はつらそうな工藤さんに「演技じゃろうが」と言い、顔をたたくなどしており、裁判では重大な過失が認められた。

 学校側は、毎年8月に「健康・安全の日」を設け、工藤さんの母親を招いた講演などを行っている。昨年度まで校長を務めた西山和孝さんは「事件を知らない教員が増えていくが、遺族と関係を続けることで分かることがあり、教訓を生かせる」と話す。

 いじめの問題に詳しい立命館大の春日井敏之教授は「遺族の心情に寄り添った対話は再発防止策の検証などで生き、学校現場の自浄作用を高める意味でも重要だ」と指摘している。

https://news.yahoo.co.jp/articles/c5fbeae25fe7da2a13d14beb46a6b2a20b3db6fa

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